設備ごとのCO2排出量算定①
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2022/11/13
この記事では「CO2削減に向けた重要設備が分かる、設備ごとのCO2排出量算定」についてご説明します。最初に設備別のCO2排出量計算の考え方と、計算に必要な設備の仕様や設備の稼働状況に関する確認方法、そして最後に計算方法と、これらを進めるにあたっての補助制度についてもご紹介します。
今回は、脱炭素を進めるうえで「現状把握」から「効果の検証」までプロセスがある中で、課題抽出の部分にクローズアップした内容となります。どの設備から多くのCO2が出ているのかを特定し、優先順位をつけるために重要なプロセスです。
CO2削減に向けた重要設備が分かる、設備ごとのCO2排出量算定
設備毎のCO2排出量を算定する趣旨
事業所におけるCO2の削減は、CO2の排出量が大きいところから取り組むと効果的に下げることができます。
例えば下のグラフは、弊社が支援したプラスチック成形工場の事例で、設備毎のCO2排出比率を示しています。
CO2を削減するためにどんな対策をすればいいのかは、多くの方がお悩みのポイントです。例えば、空調の更新は比較的着手しやすいことから、計画に組み込む会社も多いです。
しかし、上記の工場の例を見ると、空調から出ているCO2は2%しかありません。仮にこれが半分になっても、1%の削減にしかならないということです。そのため、空調にお金をかけても思ったようにCO2が下がらない、すなわち費用対効果が良くないことがわかります。
一方で、チラーのCO2量が予想より多かったという場合は、空調よりもチラーの更新にお金をかけようといった、設備投資の優先順位が見えてきます。CO2削減対策の正しい優先順位を把握し、設備投資を誤らないために設備別のCO2排出量の把握は丁寧に行う必要があります。
今後、企業の脱炭素・カーボンニュートラル化を進めていく場合は、やはりCO2排出量の大部分を占める“生産設備”に対しての削減に向けた取り組みは避けて通れません。
設備毎のCO2排出量計算の考え方
CO2排出量の計算においては、以下の方法でCO2排出量を算出します。
計算のステップには以下の4つがあります。
①保有している設備の形式・台数を確認(ユーティリティ設備・生産設備)
②設備のエネルギー使用量を確認(kW、m3/h、L/h)
③設備の稼働状況を確認(稼働時間、負荷率)
④CO2排出量を算定
これらのプロセスを経ながら情報を集めていただくと、下のような設備別の一覧表が作れます。この表を見れば、どの設備から多くのCO2が出ているかがすぐにわかりますので、この一覧を作ることをイメージしながら、ステップ①~④を進めてください。
ステップ① 保有している設備の型式・台数を把握する
(ユーティリティ・生産)
ステップ①では、設備の型式と台数を把握しましょう。
ユーティリティとは生産に直結しない設備であり、照明や空調などの生産する環境を整えるためのものを指します。他にも、生産設備の周りのボイラー、コンプレッサー、チラー、冷凍冷蔵設備などについて、自社で何を所有しているのかを確認してください。
生産設備は、文字通り生産のために使う機器類のことです。例えばプラスチック成型機や、金属加工・工業炉などの設備についても調査を行います。
設備の種類が把握できたら、それぞれの型式を見ます。下の図では空調の事例を示していますが、空調は室外機に色々な情報が載っています。室外機の右端に型式などがわかる銘板があり、ここから情報が読み取れますのでご確認ください。
次にコンプレッサーの事例を紹介しますと、箱型のコンプレッサーにも空調と同じく製品の後ろ側などに銘板があります。型式をメモする時にあわせてご確認いただきたいのは、製造年月日です。そのコンプレッサーが稼働後何年経ったのか、更新のタイミングを知るために重要な情報ですので、合わせてチェックすると今後の検討がよりスムーズになります。
生産設備の例では、マシニングセンターでは左側に銘板があります。モデルという部分を見ると型式がわかり、同じく製造年月日も書いてありますので、あわせてメモをします。
ここまでで、先ほどの一覧表の「工程名」と「型式」「台数」が埋まりました。
ステップ② 設備のエネルギー使用量を確認
形式と台数がわかったら、次はエネルギー使用量を確認していきます。エネルギー使用量の確認方法は設備によって異なりますが、今回は空調を例にご紹介します。同じ考え方であらゆる設備の情報が取れますので、参考にしてください。
まずは銘板から読み取るパターンです。先ほどの型式を読み取った部分の下に、定格消費電力という言葉があります。これが空調のエネルギー使用量です。定格消費とは、能力いっぱいで運転したときにこれぐらい電力を消費します、という目安のことです。
銘板から読み取れない場合は、インターネットで仕様書を確認する方法もあります。型式をウェブで検索すると、メーカーのサイトで仕様書がダウンロードできます。その中の消費電力という部分から数字が得られます。ここまでで、設備の仕様としてのエネルギー使用量の情報を把握できました。
パート2に続く
この記事を書いた人
田崎剛史
株式会社エネルギーソリューションジャパン 代表取締役 エネルギー管理士
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