
地球温暖化を知ることから始める②
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- #脱炭素
2022/11/06
地球温暖化対策をめぐる各国の現状
増え続けるCO2排出量
続いて、脱炭素に向けた各国・企業の動向をご紹介します。
この図は、世界のCO2排出量の推移と内訳を示したものです。1990年当時の世界のCO2の排出量は約200億tと言われていましたが、2020年には300億tを超えるまでに増加しており、右肩上がりの傾向となっています。排出量の内訳は、中国が3割、アメリカが1.5割、ついでインド、ロシア、日本となっていて、日本は世界で5番目にCO2を多く排出している国として位置づけられています。続いてヨーロッパ、北米、オーストラリアといった国々が並んでいます。
このように、CO2の排出量は増え続けており、このまま進むと気候変動が甚大化する恐れがあるため、脱炭素に向けた様々な宣言が各国から出されています。日本においては2012年10月に当時の菅首相が2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言しました。アメリカでは同年の7月に公約に掲げられ、EUでは同年の3月に、イギリスでは同年の12月に宣言をしているため、2012年は脱炭素に関する大きな動きがあった一年だと言われています。中国に関しては、目標達成のタイミングが10年遅れた2060年ではありますが、先進国、発展途上国どちらもカーボンニュートラルを目指すという方向性は一致しています。
脱炭素化で変わる世の中の仕組み
脱炭素の動きによって法制度や補助金などの仕組みが変わりつつある中で、お金の動きも変わり始め、ESG投資という言葉を聞くことが増えました。和訳すると環境(Environment)、社会(Social)、投資(Goverannce)となり、従来の財務情報だけではなく、環境や社会のことも考慮した投資を意味します。近年、脱炭素に関するお金の動きが活発化しており、日本では2年前の4.2倍である176兆円というかなり大きな金額がESG投資関連で動いています。
環境活動というと、従来までは事業活動を圧迫しながら進める側面があったかもしれませんが、最近ではお金の動きもついてきてビジネス視点でも重要なテーマになっています。この動きに伴い、脱炭素と結びつく製品需要が高まっています。また、日本においては、カーボンニュートラルを達成するために特に重要とされる14分野を設定し、それをさらにエネルギー関連、輸送製造関連、家庭オフィス関連の三つの枠組みに分けています。
まず、エネルギーにおいては、洋上風力を増やしていったり、水素などのエネルギー供給のあり方について力を入れています。輸送製造においては、電気自動車を代表とした自動車や蓄電池の産業を加速させていくこと、物流、人流、土木インフラなどが例として挙げられます。また、家庭オフィスにおいては、住宅建築物、資源環境などの分野に対して日本でも力を入れるために、成長戦略の柱に掲げています。
脱炭素化へ高まる機運
こういったことを通じて、例えば従来のエンジンメーカーは産業の転換を迫られたり、住宅の木材化が進んでいくことに対してそれをいかにキャッチアップしていくかといった点がそれぞれの企業の成長にも重要なテーマになっています。
基礎的な知識や社会的な背景、国の動向をご紹介しましたが、大企業がSBT(企業が設定する温室効果ガス排出量削減の目標)の認証を取得していれば、その大企業と取引をしているあらゆる会社がCO2の算定や削減に関する取り組みが求められるため、脱炭素はサプライチェーン全体で取り組むことがかなり進んでいます。
SBTについて・・・パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃:WB2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことを言います。
※SBT及び他の国際イニシアチブ(TCFD、RE100、CDPなど)については別の記事で詳しくご説明いたします。
そのため、脱炭素に取り組んでいる企業はしっかりサプライチェーンに残してもらえたり、あるいは新たなサプライチェーンに組み入れてもらえるため、取引を維持したり増加させることができ、すなわち企業の成長に繋げることができます。一方で脱炭素に取り組まない場合にはサプライチェーンから外されるリスクがあり、徐々に取引先が減っていく可能性があります。こういった理由から、事業活動と脱炭素の結びつきは極めて強くなってきています。
最後に・・・
地球温暖化の影響は、もはや海面上昇などの影響を直接受ける諸外国への影響だけではありません。その要因となっている私たち自身の生活や企業活動の在り方を見直すべき時期にきています。そして、国際的な金融の大きなトレンドであるESG投資から、日本国内の大手企業を中心としたサプライチェーン全体の課題へと展開されています。

この記事を書いた人
田崎剛史
株式会社エネルギーソリューションジャパン 代表取締役 エネルギー管理士
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