
なぜSBTは生まれたのか?―仕組みと業界別の広がりから見る中小企業の次の一手
- SBT認証支援
- 外部認証を取得したい
- 脱炭素の情報が知りたい
2025/09/25
【目次】
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はじめに
カーボンニュートラルが世界的な潮流となるなか、「SBT(Science Based Targets)」は企業が自らの温室効果ガス削減目標を“国際的に信頼される形で示すための指標”として、日本国内でも急速に普及しています。
大企業を中心に認定取得が始まり、サプライチェーン全体での脱炭素が求められる現在では、中小企業においても「中小企業版SBT」認定取得の必要性が高まり、認定を取得する中小企業は増加しています。
本記事では、なぜSBTが誕生したのか、その仕組みや業界ごとの取得状況、そして未取得の中小企業が今後取り組むべき理由について解説します。
1. SBTとは?なぜ生まれたのか
SBT誕生の背景
SBTは「Science Based Targets initiative(WWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトによる共同イニシアティブ)」によって策定されました。
この背景には、
- パリ協定(2015年)で定められた「産業革命前からの気温上昇を5~2℃に抑える」という国際目標
- 企業活動による温室効果ガス排出が気候変動に大きな影響を与えること
がありました。
各企業が独自に掲げる削減目標だけでは科学的な妥当性に欠け、国際的な比較も難しいため、科学的根拠に基づいた目標設定の共通基準としてSBTが誕生しました。
因みに、パリ協定が採択されるまでの流れについてはこちらの記事で解説しています。
SBTの概要
- 毎年5%以上の削減を目安に、5~15年先の削減目標を設定
- SBTでは、Scope1・2(事業者自らの直接・間接排出)だけでなく、Scope3も含めたサプライチェーン全体でのGHG排出量削減が求められている
- SBTi事務局による審査・認定を受けることで、国際的に信頼される削減目標となる
2. 業種別にみるSBT取得の広がり
2025年9月15日現在、日本国内のSBT認定企業数は、1,889社に及び、そのうちの1,543社(約8割以上)を中小企業が占めています。
また日本国内の認定企業数の推移は、2020年時点ではわずか17社(うち中小企業は4社)に過ぎませんでしたが、この5年のうちに約100倍以上に、中小企業に限っては386倍に増加しました。
参照:「脱炭素経営」の総合情報プラットフォーム:グリーン・バリューチェーンプラットフォーム
3. 業種別にみるSBT認定取得動向と背景要因
脱炭素経営の広がりと共にSBT認定を取得する企業は大きく増加しました。
しかし、ここで気付くのは、“業種”や“業界”によって認定企業数に大きな差があるということです。
参照:「脱炭素経営」の総合情報プラットフォームグリーン・バリューチェーンプラットフォーム より
1.排出量の大きい業界は必然的に先行している
電気機器・機械や自動車関連、建設業などはエネルギー使用量・CO₂排出量が多く、環境負荷の削減が経営課題となっています。
排出量の多さ=削減余地の大きさ でもあり、認定取得を進める動機が強い業界です。
2. サプライチェーンからの強い要請がある
取引先などからのプレッシャーが強い業界では、認定取得を避けては通れません。
- 自動車、電機:グローバル大企業からのスコープ3対応要請
- 商社、建設:発注元や取引先からの「環境証明」などの要求
3. 業界団体や行政の支援体制がある
建設、機械、自動車業界は、業界団体や自治体、国の補助金スキームと連携した支援策が整っています。
一方で、サービス業や食品加工などは制度の活用事例が少なく、認定取得数の差が広がっています。
認定取得が進む業界において、認定取得を先送りすることは、同業他社に後れをとり機会損失に繋がるリスクが生じる可能性があります。
一方で、認定取得が進んでいない業界においては、他社に差をつけ取引先から選ばれる機会創出のチャンスに繋がる可能性があるのです。
4.中小製造業がSBTに取り組むべき理由とは?
サプライチェーン全体での排出量削減が求められているとはいえ、実際に取引先や元請け企業からの要請が届いていない場合にも、中小企業版SBT認定の取得に向け取り組む必要があるのでしょうか?
現時点でまだ取り組みを開始していない、必要性を感じていないという企業の多くは、それが要因となっているのかもしれません。
ここからはその必要性について紐解いていきましょう。
1.取引先からの要請が拡大する
Tier1企業や大手メーカーがSBT認定を取得することで、サプライチェーン全体に削減の取り組み要請が波及しています。未対応の中小企業は知らないうちに取引継続のリスクを抱える可能性があります。
2.資金調達への影響
金融機関や自治体は脱炭素に取り組む企業への優遇を拡大しています。
一部の自治体では「SBT申請にかかるコンサル費用」を補助する制度もあり、コスト面でのハードルは下がりつつあります。
3.社会的信頼と企業価値向上
SBT認定の取得は、脱炭素への取り組みの本気度を示すことが可能です。
しかし認定を取得するだけではなく、目標達成に向けた取り組みや、その成果を開示しなければ認定は形骸化し、ステークホルダーへの説明責任も果たすことはできません。
大切なのは認定を取得することではなく、その目標に向け取り組み、やがては達成することにあるのです。
5.中小企業版SBT認定に挑む企業が直面する課題
しかし、いざSBT認定を取得しようと決めても、削減目標の設定やその削減手法が分からないという企業は多く存在し、当社へのご相談にも多い課題の一つです。
当社のように中小企業版SBT認定取得の支援企業は多数存在しますが、その多くが認定の取得までを支援範囲とする場合が多く、ESJのように認定取得後の削減まで相談・支援を行う企業は少数です。
1.目標設定のハードル
目標設定の範囲はどこまで含める?事業規模によって悩む企業は多い。
2.削減手法が見えづらい
認定を取得しても、実際にどのような手法で削減すればいいのか?運用を改善するだけで目標が達成できるのだろうか?
3.支援範囲が限定されるケース
無事に「認定取得」できたとしても、実際の削減に行き詰まっている企業が多いのが現実です。ESJは、認定取得はあくまでもスタート地点と捉えその後の取組を重視しています。
6.ESJのサポート体制
株式会社エネルギーソリューションジャパン(ESJ)は、
- SBT申請支援(書類作成~認定取得まで)
- エネルギー診断による削減ポテンシャルの抽出 ※別途ご契約が必要
補助金申請支援による費用面の支援 ※別途ご契約が必要
をワンストップで提供しています。
認定取得後の削減に課題を抱える企業様に特に有効なのが「エネルギー診断」です。
ESJでは、生産ラインや工程ごとの診断を通じて、
- 高効率設備更新
- エネルギー使用の最適化
- 放熱ロス削減
といった施策を洗い出し、SBT目標達成の道筋を具体的に描くことが可能です。
幅広い業種での支援実績があり、中小企業が安心してSBTに取り組める支援体制を整えています。
まとめ:今こそSBT取得に動くべきタイミング
- SBTは「国際的に認められる削減目標」であり、取引先・金融機関からの信頼を高める
- 業界ごとの取得状況を見ると、中小製造業でも対応を迫られる段階に来ている
- 自治体の補助金制度を活用すれば、申請コストの負担を軽減できる可能性がある
- エネルギー診断で削減余地を見える化し、取得後の実効的な行動計画が描ける
次のアクション
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