
中小企業でもわかる!LCIとLCAの基本と実務への活かし方~CFPとの関係まで解説~
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2025/09/12
【目次】
1. LCIとLCAとは?定義と関係性
脱炭素やカーボンニュートラルの文脈でよく聞く、
LCI(ライフサイクルインベントリ)
LCA(ライフサイクルアセスメント)
ですが、言葉だけでは難しく感じるかもしれません。
LCI(Life Cycle Inventory:ライフサイクルインベントリ分析)とは…
LCAを行うための「最小のデータやデータ収集の段階」のことをいいます。
製品やサービスのライフサイクルにおいて、
- どんな資源をどれだけ使ったか
- どれだけのエネルギーを使ったか
- どんな排出物(CO₂や廃棄物など)が出たか
を細かく“棚卸し(インベントリ)”します。
LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)とは…
LCIで集めたデータを基に、環境影響(温暖化への寄与度、資源枯渇への影響など)を評価・比較する手法のことをいいます。
つまり、LCI=データの土台、LCA=そのデータを使った評価という関係です。
例えば、ペットボトル飲料(500ml)の生産の場合…
1.LCI(データ収集)
・原材料調達 :PET樹脂生産に必要な石油使用量、CO2排出量
:キャップやラベルに使用されるプラスチック量
・製造工程 :使用される電力(kWh)や水量(L)蒸気
・輸送工程 :輸送時の燃料消費量(L)とCO2排出量
・使用段階 :冷蔵庫で冷やす電力量(kWh)
・廃棄、リサイクル段階:焼却時のCO2排出量、リサイクル段階での電力量
これらを数値としてリスト化(棚卸し)するのがLCIです。
2.LCA(評価)
LCIで集めたデータを基に、
・製品1本あたりのCO2排出量
・どの段階での寄与が大きいのか(例:製造30%、輸送35%、使用25%など)
・他素材と比較した際の環境負荷の違い
これらを求めることがLCAの結果です。
身近なところで“家計簿”に例えると、
LCI :何に、いくら使ったのか、細かく記録する作業
LCA :その記録(家計簿)を見て「外食費が高いから回数を減らそう」「電気代が高いから改善しよう」などの分析作業
が分かりやすいでしょうか。
2. なぜ中小企業にも重要なのか?
「うちは中小企業だから関係ない」と思われがちですが、実はサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを進める流れの中、取引先からの要請や国の補助金申請でLCAデータの提出を求められるケースが増えています。
特に製造業では、
- 部品1つあたりのCO2排出量を示す
- 新しい設備更新でどれくらいCO2削減できるかを示す
といった場面で、LCIのデータとLCAの分析が役に立ちます。
3. 実務担当者がまず押さえるポイント
中小企業の実務担当者にとって、いきなりLCAの全体像を完璧に把握する必要はありません。次のステップを意識するだけで十分です。
- データを集める
・電気・燃料使用量、原材料購入量、廃棄物処理量など
既に経理や工場管理で扱っている数字から始められます。
- 範囲を決める
・製品1個?工場全体?工程の一部?
最初は「わかりやすい1工程」から始めると取り組みやすいです。
- 外部支援を活用する
・自社だけで全てを算定するのは難しいため、専門家やツールを活用するのが効率的です。
特に補助金申請や取引先対応では「第三者による客観的評価」が信頼性を高めます。
4. LCA導入のメリット
-
- 取引先からの信頼性向上:環境配慮型の企業として見られる
- 補助金や認証への活用 :省エネ補助金やSBT申請で有利
- コスト削減 :データ収集で無駄なエネルギーや資材を把握することで削減につながる
5. まとめ ― 小さな一歩が未来につながる
LCIやLCAは「難しい分析」ではなく、すでにあるデータを整理して活用することから始まります。
取引先や社会から求められる前に、一歩先んじて準備しておくことによって企業価値の向上へとつながります。
【付録】CFPとの関係性を理解する
CFPとは?
CFP(Carbon Footprint of Products:製品のカーボンフットプリント)は、製品やサービスのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスをCO2換算で「見える化」した指標です。
例:ペットボトル1本をつくるときに排出されるCO2を「何g」と数値で表す。
CFPについてもっと詳しく読む
LCI・LCAとのつながり
- LCI(インベントリ):データの土台。原材料やエネルギー使用量などを集める。
- LCA(アセスメント):そのデータを使い、ライフサイクル全体での環境影響を評価する。
- CFP(フットプリント):特に「CO2排出量」に焦点を当て、製品単位で分かりやすく数値化する。
👉 つまり、LCI → LCA → CFP という流れで、データが「整理 → 分析・評価 → 数値化」されるイメージです。
中小企業にとっての実務的メリット
- 取引先対応:製品1個あたりのCO2排出量を示せるため、サプライチェーン全体での信頼性向上につながる。
- 補助金・認証申請:SBTや省エネ補助金申請の際に「数値で説明」できる材料になる。
- 社内改善:どの工程で排出が多いか可視化できるため、改善の優先順位を立てやすい。
いかがでしたか?
LCI、LCAやCFPにSBT…始めは3文字の略語ばかりで混乱してしまうかもしれません。
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