
大手企業が中小企業に求めるSBT・LCA対応の重要性と取引への影響
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2025/09/12
はじめに
2020年10月、当時の菅内閣が「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、この5年間でカーボンニュートラルへの取り組みは、大手企業にとっては必須となりました。
この流れはサプライチェーン全体に及び、取引先である中小企業にも「科学的根拠に基づいた削減目標」の提示を求める動きが加速しています。中でも特に注目されているのが、中小企業版SBT認定やLCA(ライフサイクルアセスメント)による環境負荷の把握です。
これまでに何の調査や要請を受けていないとしても、今後「環境負荷」についての問い合わせや調査があっても対応できる準備を進めておくことは、サプライチェーンである中小企業にとっては非常に重要です。
大手企業が直面する課題とサプライチェーンへの要請
大手企業はScope3の把握と削減という難題に直面しています。
自社の直接排出だけでなく、調達先や物流の排出も含めて削減しなければ、CDPやSBTiなどの評価で信頼を得ることはできず、ステークホルダーや消費者への説明責任を果たせないのです。
そのため、サプライヤ―に向けた調達方針やガイドラインに「サプライヤーの脱炭素対応」を組み込む企業が増加しているのです。
主な業界別企業の要請内容
【建設業】
大和ハウス工業
目標年:2025 購入先サプライヤーの90%にSBT目標を設定させる
【医薬品】
第一三共
目標年2024 主要サプライヤーの90%に削減目標を設定させる
【機械】
ナブテスコ
目標年:2030 主要サプライヤーの70%に、SBTを目指した削減目標を設定させる
【印刷業】
大日本印刷
目標年:2025 購入金額の90%に相当する主要サプライヤーにSBT目標を設定
参照:環境省:SBT概要資料 4.SBT参加企業より抜粋
中小企業版SBT取得が求められる理由
中小企業版SBT認定を取得することは、取引先への信頼性を示す強力な手段であり、ステークホルダーや消費者にも自社がカーボンニュートラルに取り組む環境経営企業であることをアピールする手段となります。
科学的根拠に基づくCO₂削減目標を掲げることで、大手企業に対して「脱炭素への本気度」を示し、さらに、SBTは国際的な共通基準であるため、説明や交渉の場でも説得力を発揮します。
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LCA(ライフサイクルアセスメント)と中小企業の役割
ここからはSBT認定取得を検討している企業なら耳目に触れる機会が増えているかもしれないLCA(ライフサイクルアセスメント)についても触れてみましょう。
※LCAについてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
LCAは、製品やサービスのライフサイクル全体にわたる環境負荷を定量的に評価する手法で、自社やサプライチェーン全体のGHG(Scope1~3)を正しく把握するために用いられます。
SBTとLCAの関係性
Scope3の観点から、大手企業は部品や素材を供給する中小企業の排出データを求めています。
中小企業がLCAを導入することは、
- 自社製品の環境負荷を数値で示すことで、取引先からの要請に対応する
- SBTの削減目標を示すことで、より強固な信頼を得る
- 改善に取り組むべきポイントが明らかになり、削減の具体的な対策が立てやすくなる
これらを可能とします。
大手企業が中小企業に求めるものは…
大手企業が求めるサプライヤーへの脱炭素の取り組みの中で、自動車、食品、化学などの業界では、すでにSBTやLCAをサプライヤーに求める動きが見られます。
調達アンケートやガイドラインの中で「SBT認定の有無」「LCA算定の実施状況」をはじめ、カーボンニュートラルへの取り組みを確認する事例も増えてきています。
これらに対応していない企業は取引縮小や選定外となるリスクがある一方、積極的に取り組む企業は新たなビジネス機会を得ています。
実際に、当社が脱炭素化を支援した企業様で、自社の取り組みを取引先へ開示した結果、この取引先から更なるCO2削減に向けた再エネ電力の紹介を受けるに至りました。
この紹介は取引先のサプライヤーの中でも“限られた企業”が紹介されたもので、今後の取引継続のために取引先がこの企業様を「選んだ結果」といえるでしょう。
このように、自社の取り組みを積極的に開示していくことで、新たな機会の創出に繋がるきっかけとなります。
中小企業にとってのリスクとチャンス
SBTやLCAに対応しない事は、今後の取引継続に支障をきたす可能性に繋がります。
一方で、早期に取り組むことで「選ばれるサプライヤー」として他社との差別化が可能になります。
また、環境経営を進めることにより、金融機関からの資金調達や投資家からの評価に有利となる可能性があります。
専門部署や担当者を置くことができれば、的確な情報収集を進め機会創出のチャンスを得ることは十分に可能です。
ESJのサポート内容
中小企業にとってLCAの算出やSBT申請を含む脱炭素への取り組みは、通常業務と並行して行うには大きな負担となることがあります。こうした取り組みに追われて本業の作業効率が下がってしまっては、サプライヤーの要請に応えようとする努力が本末転倒になってしまいます。
エネルギーソリューションジャパン(ESJ)では、中小企業のSBT申請までを包括的にサポートしています。
単なる申請代行にとどまらず、現状把握、削減シナリオの策定、さらには取引先へのアピールまで支援が可能です。
取引先への脱炭素対応にお悩みの経営者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
まとめ
大手企業が中小企業に求めるSBT・LCA対応は、今後の取引の存続と拡大に直結します。これは単なる環境施策ではなく、競争優位性を確保する経営戦略の一部です。
ESJの支援を活用し、着実に取引先の信頼を獲得していきましょう。
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